所有権保存登記とは(所有権保存登記の意義)
所有権保存登記とは、その不動産について最初になされる所有権に関する登記です。
所有権に関する登記の1つです。
所有権保存登記の申請適格者(所有権保存登記を申請することができる者)
所有権保存登記の申請適格者(所有権保存登記を申請することができる者)は、不動産登記法74条で規定されています。
具体的には、次の通りです。
- 表題部所有者(不動産登記法74条1項1号前段)
- 表題部所有者の相続人その他の一般承継人(不動産登記法74条1項1号後段)
- 所有権を有することが確定判決によって確認された者(不動産登記法74条1項2号)
- 収用によって所有権を取得した者(不動産登記法74条1項3号)
- 区分建物の所有権を表題部所有者から取得した者(不動産登記法74条2項。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。)
上記の不動産登記法74条で定められた申請適格者以外の者は、所有権保存登記を申請することができません。
登記官の職権による所有権保存登記
登記官は、所有権の登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をするときは、職権で、所有権の保存の登記をしなければなりません(不動産登記法76条2項)。
所有権の処分の制限とは、差押えや仮差押え、処分禁止の仮処分などのことです。
不動産の所有権の処分の制限の登記をする前提として、その不動産につき最低でも所有権保存登記まで終えている(つまり、誰がその不動産の所有者か明らかにする)必要があります。しかし、不動産の差押え等を受けた所有者が、自ら登記申請に協力することは期待できません。そのため、不動産登記法76条2項の規定により、登記官が職権で所有権の保存の登記をするものとされました。
登記官の職権により所有権保存登記が行われる場合の例一覧
- 強制競売の開始決定に係る差押えの登記(民事執行法48条1項)
- 強制管理の開始決定に係る差押えの登記(民事執行法111条)
- 不動産に対する仮差押えの登記(民事保全法47条1項)
- 不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の登記(民事保全法53条1項)
- 破産および破産前の保全処分等の登記
- 再生手続開始前の保全処分等の登記
- 会社更生手続開始前の保全処分等の登記
- 清算会社の財産に関する保全処分等の登記
- 滞納処分による差押えの登記
- 収容または使用の裁決手続開始の登記
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