準拠法決定のプロセス

準拠法とは

準拠法とは、渉外的私法関係に適用すべきとされた実質法のことをいう。

準拠法決定のプロセス

  1. 法律関係の性質決定
  2. 連結点(連結素)の確定
  3. 準拠法の特定
  4. 準拠法の適用

法律関係の性質決定

まず、問題となる法律関係について、国際私法上どのような単位法律関係に分類されるかを決める必要があり、これを法律関係の性質決定という。

本件においては、「離婚に伴う子の親権者の指定」という法律関係が、法の適用に関する通則法(以下、単に「通則法」という)27条にいう「離婚」の効力の問題と性質決定されるのか、通則法32条にいう「親子間の法律関係」と性質決定されるのかが、問題となる。ここでは、通説に従い「親子間の法律関係」と性質決定する。

国際私法 – Wikipedia

連結点(連結素)の確定

次に、性質決定された法律関係につき、準拠法を指定するに際しその媒介として利用される要素を特定する必要がある。そのような要素のことを連結点(連結素)という。

本件においては、妻Bの国籍と子の国籍が同一(乙国籍)であるため、通則法32条にいう「子の本国法が・・・母の本国法・・・と同一である場合」に該当し、子の国籍が連結点となる。

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準拠法の特定

次に、連結点をもとに準拠法の特定作業が必要になるが、通常は連結点の確定の時点で準拠法が特定される。つまり、本件においては、子の国籍である乙国法に従って親権者の指定をすればよい。

しかし、乙国が地域により法を異にしている場合には、乙国のどこの地域の法を準拠法とすべきかが問題となり、この場合には、連結点の確定の他に準拠法の特定という作業が必要となる。本件において、乙国が地域により法を異にしている場合は、通則法38条3項にいう「当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合」に該当するものとして、「その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)」を本国法とすることにより、準拠法が特定される。

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準拠法の適用

以上の作業により適用すべき準拠法が特定される。ところが、外国法が準拠法とされた場合には、国内法を適用する場合と異なった問題が生じうる。

本件でいうと、連結点とされた子の国籍である乙国法では離婚制度を認めていない場合が考えられる。このような場合、離婚に伴う親権者の指定という法律問題も存在しないはずである。つまり、一種の法の欠缺の問題となり、どのような法を適用すべきかが問題となる。

また、離婚の際の親権者につき自動的に父(又は母)と指定する法制度を採用している国がある。仮に乙国が、自動的に父を親権者に指定する法制度を採用している場合、父親Aが親権者としての適性に欠けると評価される場合であっても、母親Bを親権者と指定することができない。このような場合には、乙国法の適用が通則法42条にいう「公の秩序又は善良の風俗に反するとき」に該当し、乙国法を適用しないとして解決すべきかが問題となる。

以上のようなプロセスを経て、適用すべき準拠法を決定し適用することになる。

国際私法 – Wikipedia

参考文献

神前禎・早川吉尚・元永和彦(2019)『国際私法(第4版)』有斐閣

参考ページ

国際私法 – Wikipedia

国際私法 – Wikibooks

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