保険給付

保険給付の区分・種類

法律上の区分

健康保険法上、保険給付は次の2つに区分される。

  • 法定給付
  • 付加給付

 

給付方法による区分

給付方法により、保険給付は次の2つに区分される。

  • 現物給付
  • 現金給付

 

法定給付の種類

法定給付の種類については、健康保険法52条に定めがある。

健康保険法

(保険給付の種類)

第五十二条 被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。

一 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給

二 傷病手当金の支給

三 埋葬料の支給

四 出産育児一時金の支給

五 出産手当金の支給

六 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給

七 家族埋葬料の支給

八 家族出産育児一時金の支給

九 高額療養費及び高額介護合算療養費の支給

 

法定給付の種類を表にすると、次の通りである。

保険事故 被保険者の保険事故に対する保険給付 被保険者の保険事故に対する保険給付
疾病

負傷

療養の給付

家族療養費
入院時食事療養費
入院時生活療養費
保険外併用療養費
療養費
訪問看護療養費 家族訪問看護療養費
移送費 家族移送費
高額療養費 高額療養費
高額介護合算療養費 高額介護合算療養費
傷病手当金
死亡 埋葬料 家族埋葬料
出産 出産育児一時金 家族出産育児一時金
出産手当金

 

付加給付

健康保険組合の付加給付

健康保険組合の付加給付については、健康保険法53条に定めがある。

健康保険法

(健康保険組合の付加給付)

第五十三条 保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。

 

保険者が健康保険組合である場合においては、健康保険法52条各号に掲げる給付(「法定給付」に併せて、規約で定めるところにより、保険給付として「その他の給付」(つまり「付加給付」)を行うことができる(健康保険法53条)。

 

協会管掌健康保険における付加給付

協会管掌健康保険(全国健康保険協会が運営する健康保険)における付加給付については、健康保険法53条に定めがある。

健康保険法附則

(協会が管掌する健康保険の被保険者に係る給付の事業)

第四条 被保険者を使用する事業主(健康保険組合が組織されている事業所の事業主を除く。)及び当該被保険者で組織する法人その他の政令で定めるもの(次項において「法人等」という。)であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の承認を受けたもの(以下この条において「承認法人等」という。)は、当該被保険者の療養に関して保険給付があった場合において、第七十四条第一項の規定により当該被保険者が支払った一部負担金に相当する額の範囲内において、当該被保険者に対し、給付をすることができる。

2 前項の法人等が承認を受けようとするときは、あらかじめ、協会の同意を得なければならない。

3 承認法人等は、第一項の給付に要する費用に充てるため、厚生労働省令で定めるところにより、事業主又は被保険者から費用を徴収することができる。

4 承認法人等の事業に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

被保険者を使用する事業主(健康保険組合が組織されている事業所の事業主を除く。)及び当該被保険者で組織する法人その他の政令で定めるもの(「法人等」)であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の承認を受けたもの(「承認法人等」)は、当該被保険者の療養に関して保険給付があった場合において、当該被保険者が支払った一部負担金に相当する額の範囲内において、当該被保険者に対し、給付をすることができる(健康保険法附則4条1項)。

法人等が承認を受けようとするときは、あらかじめ、協会の同意を得なければならない(健康保険法附則4条2項)。

協会管掌健康保険において、付加給付を行うのは、全国健康保険協会ではなく、承認法人等である。

なお、現在、承認法人等は1件も存在しない。

 

法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例

「法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例」については、健康保険法53条の2および健康保険法施行規則52条の2に定めがある。

健康保険法

(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)

第五十三条の二 被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が五人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。

健康保険法施行規則

(法第五十三条の二の厚生労働省令で定める業務)

第五十二条の二 法第五十三条の二の厚生労働省令で定める業務は、当該法人における従業員(同条に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとする。

 

健康保険法53条の2および健康保険法施行規則52条の2の内容を整理すると、次の通りである。

  • 被保険者又はその被扶養者が法人の役員であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行われない
  • ただし、被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって、当該法人における従業員(法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められる業務に起因する疾病、負傷又は死亡に関しては、保険給付が行われる
  • 法人の役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。

 

他の法令による保険給付との調整

「他の法令による保険給付との調整」については、健康保険法53条に定めがある。

健康保険法

(他の法令による保険給付との調整)

第五十五条 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

2 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

3 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。

 

 

 

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