労働条件の原則(労働基準法1条)

労働基準法で規定されている労働条件の基本7原則(労働憲章)のうち、労働条件の原則(1条)について解説します。

労働条件の原則

労働基準法1条は「労働条件の原則」について定めている。

(労働条件の原則)

第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

○2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない

憲法との関係

労働基準法1条1項は、日本国憲法25条1項で規定する「生存権」を具現化した宣言的規定(法規範としての効力を有しない、抽象的に一般的な指針を示す規定)である。

日本国憲法第25条第1項

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日付発基第17号、都道府県労働基準局長あて労働次官通達)法第1条関係(1)

本条は労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充すべき労働条件を保障することを宣明したものであつて本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。

労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日付発基第17号、都道府県労働基準局長あて労働次官通達)法第1条関係(2)

労働者が人たるに値する生活を営むためにはその標準家族の生活をも含めて考へること。

2項について

労働基準法1条2項は、労働条件の最低基準を規定した労働基準法の基準を理由として労働条件を低下させることを禁止する条文である。

社会経済情勢の変動など他に決定的な理由がある場合は、労働条件を低下させたとしても、労働基準法1条2項に抵触しない(労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日付発基第17号、昭和63年3月14日基発第150号)。

「労働基準法関係解釈例規について」(昭和63年3月14日基発第150号・婦発第47号)

第1条関係 3 労働条件の低下

<労働条件の低下>

第二項については労働条件の低下がこの法律の基準を理由としているか否かに重点を置いて判断するものであり、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には本条に抵触するものでないこと。〔昭和二二・九・一三発基第一七号、昭和六三・三・一四基発第一五〇号〕

違反時の罰則

労働基準法1条は訓示的な規定であり、違反時の罰則はない

参考文献

浜村彰・他(2019)『ベーシック労働法(第7版)』有斐閣


労働基準法の解説記事一覧

総則

労働契約

  • 労働基準法違反の契約
  • 契約期間等
  • 労働条件の明示
  • 労働者の労働契約解除権と帰郷旅費
  • 賠償予定の禁止
  • 前借金相殺の禁止
  • 強制貯金
  • 退職時等の証明
  • 金品の返還
  • 解雇制限
  • 解雇の予告等
  • 解雇予告制度の適用除外者

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  • 平均賃金
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  • 出来高払制の保障給

労働時間

  • 労働時間等に関する規定の適用除外
  • 高度プロフェショナル制度
  • 労働時間の計算
  • 法定労働時間
  • 変形労働時間制
  • 1ヵ月単位の変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制
  • 休憩
  • 休日
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  • 非常災害等による時間外・休日労働
  • 36協定による時間外・休日労働
  • 割増賃金
  • みなし労働時間制
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