就業規則と労働契約との関係(労働基準法93条、労働契約法12条)について解説します。
条文
労働基準法
(労働契約との関係)
第九十三条 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十二条の定めるところによる。
労働契約法
(就業規則違反の労働契約)
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
就業規則と労働契約との関係
労働契約法第12条では、労使の間で個別に労働契約を結んでいるときに、労働契約の内容が就業規則で定めた基準を下回るものであった場合には、その基準を下回っている部分についてのみ無効である、と示している。無効となった部分は、就業規則で定める基準まで引き上げられる。
例えば、就業規則では「試用期間は2か月である」と定めてあるのにもかかわらず、「試用期間は1年間」とする労働契約を結んだ場合には、就業規則の内容を優先し、2か月を越える部分は無効となる。
就業規則と他の労働規範との関係
法的効力の順位は、法令>労働協約>就業規則>労働契約の順である。
参考文献
公益財団法人国際人材協力機構(2018)『技能実習生の労務管理に係る各種法令の正しい理解のために』
東京都産業労働局雇用就業部労働環境課(2016)『就業規則作成の手引き』
東京労働局(2015)『明るい職場づくりのための就業規則作成の手引き』
参考ページ
労働基準法のあらまし(就業規則、労働契約の関係) | 茨城労働局
労働基準法の解説記事一覧
総則
- 労働条件の基本7原則(労働憲章)
- 適用事業
- 適用除外
- 労働者と使用者の定義
労働契約
- 労働基準法違反の契約
- 契約期間等
- 労働条件の明示
- 労働者の労働契約解除権と帰郷旅費
- 賠償予定の禁止
- 前借金相殺の禁止
- 強制貯金
- 退職時等の証明
- 金品の返還
- 解雇制限
- 解雇の予告等
- 解雇予告制度の適用除外者
賃金
- 賃金の定義
- 平均賃金
- 賃金支払5原則
- 非常時払い
- 休業手当
- 出来高払制の保障給
労働時間
- 労働時間等に関する規定の適用除外
- 高度プロフェショナル制度
- 労働時間の計算
- 法定労働時間
- 変形労働時間制
- 1ヵ月単位の変形労働時間制
- フレックスタイム制
- 1年単位の変形労働時間制
- 1週間単位の非定型的変形労働時間制
- 休憩
- 休日
- 時間外・休日労働の定義
- 非常災害等による時間外・休日労働
- 36協定による時間外・休日労働
- 割増賃金
- みなし労働時間制
- 事業場外労働のみなし労働時間制
- 専門業務型裁量労働制
- 企画業務型裁量労働制
- 年次有給休暇
年少者
- 年齢による労働者保護法制
- 未成年者
- 年少者
- 児童
妊産婦、就業規則及び雑則等
- 妊産婦等
- 技能者の養成及び災害補償
就業規則
- 就業規則の作成及び届出の義務(労働基準法89条)
- 就業規則の作成の手続(労働基準法90条)
- 就業規則の制裁規定の制限(労働基準法91条)
- 就業規則と法令及び労働協約との関係(労働基準法92条)
- 就業規則と労働契約との関係(労働基準法93条、労働契約法12条)
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